会場に使わせていただいている、伊東さんのお宅の風通しのよさを身体中で感じて、身体と環境とを通じ合わせるところから講座は始まりました。
この日は着物をほどいてみようの会。
完成系を知って、紐解いていくという学び。
反物を着物にしていく行程の組み立てを、ゴールからスタートに逆戻りしていく作業。
長い月日を経て磨かれた着物というカタの美しさは、作る行程の随所に表れていて、どこをみてもおさまりがよく美しい。
わたしがほどくのを担当した背中の部分は、縫い合わせたところが内側から見てもきれいに収まるように、また、表に縫い目が出ないように、着物と同じ反からとった布を細くつなぎ合わせたものを一緒に縫い付け、折りたたんで倒して押さえて縫ってあるそう。(文で表現するのはむつかしい、、)
↓ほどいては解説する、講師の二木さん(真ん中左)



無駄なくひとつひとつとても丁寧に、ひたすらに布が大切に使われてきたことが、糸をほぐしていく過程で身に染みる。
一昔前だったら、ほどいて洗って、張り板に付けて乾かして、また縫い直して着る。
しかも季節に合わせて、都度作り変えていた。秋には合わせにしたり、冬には中綿を入れたりと、一年中ほどいたり縫ったりして、ずっと使い続ける。
布との付き合い方、布の在り方が今とまるで違う。せつなくなるほどに!
洗い張りはできないので、、今回はほどいた布にアイロンをあてる。

繊維の方向に沿ってすべらすように、、
つやと張りが出て、布が生き返った!

ほどいた布を全部を縦に並べると、着物が反物のかたちに戻っていく。

この一反の布を小さな子どもの時から大人になるまでずっと使えるように、着物は設計されているという。日本人に脱帽です。
作っては壊す、壊しては作る、のむかしの日本人。
現代だと、作る過程を知らない。いらなくなったら捨てる。その先も知らない。
作る過程を知ることだけが学びではなかった。壊し方にも作法があり、その繰り返しで文化が洗練されていったのだ。
反物のかたを保ったまま使い、着続けることに関しても、長方形というカタが決まった中であれほどに美しいものを作ってきた創造性に感服。
布への敬意をとても感じて、ジーンとする。敬意があれば、カタのなかで創造性を発揮できる。
ほどいてみてわかったこと、身に染みたことがたくさんありました。
こんどはこのほどいた布を使って、紐を作る!
紐にもいろいろ。手に取って、どんな紐が今の自分になじむのか?自分に聞いてみるところから始まる紐づくり、次回もとても楽しみです。
(西村)
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